三角グループ

場の量子論、特に素粒子現象を記述するゲージ場の量子論について研究しています。
また、この研究で得られた知見を物性理論に応用することにも興味を持っています。

メンバー

指導教員 三角樹弘
B4 逢坂 尚人
小原 賢

OB 李 韜瀚 (東北大学大学院進学)

研究内容

1.量子論における摂動計算と複合ソリトン配位との関係
微小世界を記述する量子論においては、しばしば摂動計算と呼ばれる漸近展開に基づく計算手法が用いられます。特に素粒子現象を記述する場の量子論では大変重要になりますが、摂動級数は一般に発散するため、大部分のパラメータ領域の解析が出来ません。近年、その発散が実は摂動計算では記述出来ないとされる「非摂動現象」の情報を含む可能性が指摘されています。三角グループでは摂動計算と複合ソリトン配位と呼ばれる非摂動効果との関係を調べています。
(図1は2次元CPN模型における複合ソリトン配位の例。T.Misumi,M.Nitta,N.Sakai,JHEP09(2015)157)

図1

2.コンパクト化時空上のゲージ理論の相構造と閉じ込め
コンパクト化された次元を持つ空間に定義されたゲージ理論においてはしばしばゲージ対称性の自発的破れ等の興味深い現象が生じるだけでなく、コンパクト化半径が十分小さい場合には解析が容易になる、という特性があります。三角グループでは、このような理論の相構造特に閉じ込めについての相構造を調べ、現実の強い力を記述するゲージ理論(QCD)とどのように繋がるかを調べています。
(図2はコンパクト化時空におけるAdjoint QCDの相構造。T.Misumi,T.Kanazawa,JHEP06(2014)181)

図2

3.離散化された時空における超対称ゲージ理論の厳密解と数値計算
超対称ゲージ理論は高い対称性を持つため性質が良く、ある種の物理量については厳密に解ける場合もあります。三角グループでは一般の離散化時空における超対称ゲージ理論について厳密解の導出と数値計算を行うことで、曲がった時空における超対称理論の性質を調べています。
(図3は離散化された時空における超対称ゲージ理論の自由度の例。S.Matsuura,T.Misumi,K.Ohta,PTEP(2015)033B07)

図3

4.新しい格子離散化法に基づく格子シミュレーション
摂動論を超える場の量子論解析法の一般的枠組みの1つとして格子ゲージ理論があります。この理論では時空間を離散化し、格子点やそれらを繋ぐ線上に自由度を定義します。解析計算はこの場合も難しいですが、モンテカルロ法と呼ばれる統計的手法を用いた数値計算が有効であり、多くの成果を上げています。一方、離散化の結果としていくつかの問題点も生じます。三角グループではこの問題点を出来るだけ解消する格子模型を提案し、それらに基づく数値シミュレーションを行っています。
(図4はZ3-QCDと呼ばれる格子模型の数値計算結果。T.Iritani,E.Itou,T.Misumi,JHEP11(2015)159)

図4

教員メッセージ

世の中で起きている物事は多種多様で予想がつきません。しかし、この宇宙で起きるすべての物事は、例えそれが人間の意思に基づくとしても、何らかの法則に従って起きていると考えられます。人間の体を形作る細胞はより詳しく見るとアミノ酸の集合体ですが、さらに細かく見ると分子・原子から出来ており、それらの振る舞いは「量子論」とよばれる”小さい”物の動きを司る法則に従っています[図5参照]。一方、宇宙空間において星やそれを包含する銀河の振る舞いは「一般相対性理論」とよばれる”大きい”物の動きを司る法則に従っています[図5参照]。ですので、社会現象や自然災害も、究極的にはこれらの2つの法則の結果として生じていると考えられます。

図5

 

この話で注目してほしいのは、物事の規模によって主立つ法則が異なる点です。実は、素粒子物理学と呼ばれる分野の研究者は、一見異なるように見えるこれら2つの法則も実は1つの共通の法則の異なる見え方だと考えています。そしてその法則はたった一つの単純な方程式で記述されるだろうと。このような法則あるいは方程式は「万物の理論」(Theory of Everthing)と呼ばれ、宇宙で起きるの出来事はこの一つの方程式に基づいていると期待されます。

このように自然現象の背景には普遍的な規則が存在するはずで、その規則を記述する単純な方程式は何か、という謎が物理学の一つの問いです。一方、どうしてたった1つの方程式から大宇宙が生まれ、生命が生まれ、人間の思考が形成されるのか、というように多様性が生み出される理由を考えるのも物理学の魅力的な問いです。このような数学を用いた自然の真理の探求に興味のある人は、是非ともこの分野に飛び込んで来てください。

三角樹弘

業績一覧や研究歴などは以下を参照してください.

Researchmap    http://researchmap.jp/misumi/
秋田大学研究者総覧 http://akitauinfo.akita-u.ac.jp/html/100000502_ja.html
Google scholar https://scholar.google.com/citations?user=rJNI3UIAAAAJ&hl=en
inSPIRES http://inspirehep.net/author/profile/T.Misumi.1?ln=ja